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文楽によせて
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    4月に二代目吉田玉男さんの襲名披露公演が国立文楽劇場でありました。
    初代の吉田玉男氏は、端正かつ理知的な芸風の人形遣いで、昭和52年には人間国宝に認定され、今から九年前の平成18年にお亡くなりになられました。彼の立役の人形のあまりの色っぽさ、あまりの凛々しさに、熱狂的な女性ファンが楽屋前に列をなしていたそうです。
    そんなお方の二代目襲名とあっては、さぞ大変なことだったろうと思いますが、楽屋でも気さくに会ってくださり、芸道を極めつくさんという厳しい精神性の裏側には暖かい人間味を感じさせるお人柄。大阪の八尾出身ということもあって、同じ関西弁で語り合えるといったお人です。ひょんなことから縁をいただいたことがきっかけで、私は彼の襲名披露公演を通して、初めて人形浄瑠璃というものをじっくり拝観させて頂きました。
    驚きの世界がひとつ広がり、私の心の中に未知の花がひとつ咲きました。文楽人形とその衣装の息を呑む美しさもさることながら、人形の動きの一つ一つが、かくも深い人間の感情を表現しうるなど思いもしませんでした。
    能面が見る者の心によって千変万化の表情をもつように無表情の人形の顔もその絶妙な動きによって名役者以上の感情に訴えてくるのです。
    約十キロの人形を男三人で操るのは世界でも文楽人形だけだそうで、三人のぴったり息のあった芸はまさに神わざ。その動きが三味線と太夫の語りに寸分の狂いもなくぴったり合った瞬間に見せる文楽人形の恐ろしいまでの表現力。だからこそ種々な演目が人形浄瑠璃に移し替えられ、人形でしか表現できない夢幻の世界に観客はかくも魅了されるのだと思います。
    ところで、太夫の語りといえば、こんな想い出があります。ちょうど今から50年前、恭ちゃんと(私の同士でもある従業員の一人)私は昔、人形浄瑠璃を見に徳島へ行ったことがあります。共に18歳の娘ざかりだった私たちは、太夫のあの独特な言い回しがおかしくておかしくて、腹をかかえて笑ってしまいました。
    「ととさまの名は・・云々」で笑いころげ、
    「かかさまの名は・・云々」で笑いころげ、
    その度に隣に座っているおばちゃんが目をつり上げ、声を殺して私たちを叱りつけました。口をふさいで笑いを抑えても、どうにもおさえきれなくなって、さらに大きく、蓄積された分を一挙に吹き出してしまう私たち。最後にはかんかんに怒ったおばちゃんの、
    「あんたら文楽のよさわかれへんのか!」と頭から怒りの湯気がたっている赤鬼の形相。そんなおばちゃんをみて、お互い爪を立てあって必死で笑いを抑えていた恭ちゃんと私。これを書いている今も、あの時のおばちゃんの顔が懐かしく蘇ってきます。
    この場を借りて、今は亡きおばちゃんへ私たちの謝罪の気持ちを伝えておきます。
    50年後の今、やっと言うことの出来る謝罪です。
    私たちのせいで素晴らしい人形浄瑠璃の舞台を楽しめなかったこと、本当にお気の毒でした。
    最後に一つだけ気がかりなことを書いておきます。私が文楽を拝観した日が特別にそうだったのか、観客の中に外国人の姿がかなり目につきました。外国人が日本の古典芸能に興味をもたれることは、とても嬉しいことです。ただそんな熱心な外国人に比べて、日本人の私たちはどうだろうとちょっと気になったのです。かつて浮世絵を高く評価したのはフランス人でした。文化の逆輸入という形でその芸術性が認められた浮世絵の歴史があります。文楽もそうなると、とは思いませんが、こんな素晴らしい文化に私たちは外国人以上に興味と誇りをもつべきではないかと思っています。
    偉そうなこと言えませんが、私たちの国の生んだ文化は私たちの手でしっかり守っていきたいものです。


    国立文楽劇場の美しい緞帳!
    各企業様からの寄付らしいです


    この方が玉女改め、玉男さん
    これからの文楽を背負っていかれることでしょう


    観劇仲間の美しい方々!この年代この若さの中に・・・
    嬉しい観劇会でした


    鶴沢燕三さんのお陰で文楽の舞台裏を拝見!!
    人間の舞台とは違い、全て小ぶり〜がなぜか面白いです


    posted by: shobentango | - | 00:36 | comments(0) | trackbacks(0) | - | - |









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